製品の検査時には「恒温槽」と呼ばれる指定温度に庫内がなるように自動的に調整する箱に入れて試験を行います。高温試験を行う場合はこの装置は加熱だけでは無く放熱にも貢献していることに注意が必要です。
恒温槽の中は庫内全体を指定温度にするために風量があります、これが局所的な熱を逃がしている効果もあるのです。つまり、恒温槽で70度で動作しても室温70度で動作する事は保証されません。
トランシーバー自体も発熱します。仮に放熱能力がゼロであると仮定すると、室温0度から運用を開始してもいずれ自己発熱により動作保証温度を超えて動作を停止します。実際には放熱能力が全くないことは無いのである程度の温度で安定するでしょう。
しかし、室温が動作保証温度に近づけば自己発熱に対する放熱性能の不足分が問題になります。放熱性能は使用される機器に依存しています。
産業温度範囲対応であり85度での動作試験をパスした製品であっても、無風で放熱性能が悪い場合は室温70度でも動作を停止してしまいます。
また、波長の安定度を確保するためにTEC(温度管理機能)を備えた製品は環境温度の変化に応じて消費電力が変動します。目標温度に対して高くなれば冷やすために電力を消費し、低くなれば温めるために電力を消費します。
このため、動作保証温度の上限に近づくことにより消費電力が増大し自己放熱量も増加する傾向があります。これにより放熱とのバランスが崩れると上昇トレンドに陥ります。
実際に、トランシーバーをゲージに差さず電源端子だけを接続し放熱効果がある金属に一切接しない状態でヒートガンにより80度まで加熱しその後無風状態で保温効果が高いケース内に放置したところ温度が85度を超え動作停止しました。