光トランシーバーの仕様は、伝送側はIEEE、ケースや端子構成、EEPROMの情報構成などはSFFで規定されているのですが。それらの仕様書通りにはいかない例があります。
MMFで300m仕様40G ESR4は、IEEEで仕様が確定した後にVCSELによる実装が主流になり。100mから300mまで安定して伝送できる距離が延長されました。しかし、SFFに仕様には40G ESR4のタイプコードは存在しませんので、SR4でMMFの距離が300mの設定をしています。
100G LR4も仕様策定当時はEMLでの実装想定でしたが、DMLでの実装が可能になりました。こちらは外部仕様には変化はありません。
100G ER4は、CFP2想定でした。QSFP28では消費電力が足りないために受信アンプにSOAではなくAPDを使うER4 Liteがよく使われています、これもIEEEに明確は仕様が無く(?)SFFにタイプコードはありません。IEEEの議事録にはCFP4想定でAPDの場合の見積もりが示されていますが仕様化には至っていない様です。
古い機材でソフトウェアのメンテナンスがされていない場合は新しい伝送モードを認識しない事があります。または、ソフトウェアは最新に更新されていても光トランシーバー関連の部分だけ旧来のままと言うこともよくあります。
この場合、仕様書に追加されたコード設定を行うと未知のタイプとして動作しない可能性をありますのであえて実装とは異なる一般的な伝送モードを示すコードを設定する事があります。
10G DWDM等が典型的でしょうか。10G LRのタイプをあえて設定する場合があります。初期の100G CWDM4にLR4のコードを設定した事もありますが、LR4はFECがデフォルトでOFF、CWDM4はONですのでこれは悪い選択でした。
QSFP28の100G DR/FR1/LR1/BRも敢て仕様と異なるtype codeの設定が必要となるケースがありそうです。
弊社の隠れたヒット製品、10G-T rate match。トランシーバー内に速度変換とバッファーを備え、1/2.5/5/10Gに対応しています。当然、標準仕様にはこれに合う仕様はありません。
製品の性格上、10G SRのタイプコードを設定して機器側に従来の製品と誤認させる仕様になっています。
1Gbpsでも10Gbpsでも両方サポートしている場合、両方の設定ビットをONにするのが必ずしも正しいとは限りません。機器によっては、1Gbpsと認識してしまい10Gbpsで利用できない場合もあります。したがって、トランシーバーの仕様として複数の伝送モードをサポートしEEPROM情報でも矛盾なくそれを示すことができる場合でもあえてその設定を行わないケースもあります。
この問題は、CMISでは複数のクラスを優先順位をつけて記述できるようになり大きく改善しています。
極めて運用に問題があるのですが、消費電力を示すコードを実際よりも低く設定する場合もあります。