OFC2024の主役であったLPO(Linear-drive Pluggable Optics)ですが、従来の形式の光トランシーバーの領域を置き換えるものになるのか、特殊な構成でのみ使用されるのかまだ見通せません。
CPOとの違い
「CPOと同じ回路構成なのであれば、障害時の切り分けの困難さはCPOと同等では?」との問い合わせを頂きました。CPOも運用実績はありませんので推測ではありますが、 CPOの場合はファブリックとの電気信号による接続距離は極めて短く。かつ、メーカーが異なってもこの部分の実装に差は生じにくいと考えられています。ファブリックチップによる差は生じますが、現状の市場では利用されるファブリックチップは数種類に限定されますので特性の整理は容易でしょう。
これはLPOに限った話ではありませんが、複数ペアのSMFファイバーを使いMPOコネクタで接続するDR4/DR4+は光区間の伝送品質に余裕があります。また、一つのレーザー光源からの分岐実装とLPOを組み合わせる事で、400Gbps対応の光トランシーバーとしては低い消費電力が実現できます。
そのため、LPOに関する議論の多くはファイバー多重方式を前提にしているように見受けられます。
CWDM4による波長多重の400G FR4は同じ距離のファイバー多重DR4+よりはマージンが少なくまだLPO実装例も少ないです。CPOは波長別の光源を複数ポートに供給することによりレーザー素子の共有が可能という事もあり積極的に実装しているベンダーが多くあります。
「そのうちQSFP-DD 400G DR4もLPOが主流になるのですね?」これも何件か質問を頂いたのですが、QSFP-DD 400G DR4にCDR(クロック再生・波形再生)回路の他に50Gbps/laneの電気回路を100Gbps/laneの光変調に変換するためのデータを合成・分離する回路を備えています。GEARBOXと呼ばれるこの速度変換を行う回路は削除することができませんのでLPO化はできません。
理論的にはGEARBOXを必要としないQSFP-DD 400G SR8であれば、LPO化は可能ですがそもそも100Gbps/laneへの速度上昇に伴う消費電力増加を回避するところからLPOの必要性が始まっていますので、50Gbps/laneでLPO実装も行う必要性は無いでしょう。
SFP112 100G DR LPOはありえます。しかし、対応するNICが2024年4月現在ありません。
QSFP28の100G DRはGEARBOXが必要ですのでLPO化できません。