映像伝送をIPパケット網を利用して伝送する事は従来から行われてきましたが、相互接続性を求めて仕様の標準化が求められており徐々に整理されつつあります。現在では「Media over IP」と「AV over IP」に大分類すること理解しやすいです。身近な映像情報と言うとYouTubeがありますが、最終的に顧客に配信するものと、映像制作の途中で使用する映像には要求される遅延と品質に大きな違いがあります。
従来の映像用の配線が一方向であるのに対して、双方向の情報伝達が可能ですのでカメラのズーム等のパラメータや雲台を操作しての向きの遠隔制御が追加の配線を必要とせず使えるのが大きな利点です。運用に必要なインカムの音声情報も多重できます。また、ethrnetは広く使われているため確保できる帯域に必要なコストが格安です。
文字や静止画情報が中心の旧来のWEBアプリケーションに比べはるかに大きな帯域が必要ですので、光トランシーバーを利用した配線が必要になる分野です。
同類の表記に「MPEG over IP」「Video over IP」等があります。
「AV over IP」AVoIP
映像伝送でもその利用目的は様々です、「AV over IP」はNTSCのアナログ信号を同軸で配線していた監視カメラや、HDMIを延長して配線していたデジタルサイネージの流れを継承するものです。IPを使わずethernet frame上に情報をの載せていたものもありましたが現在ではIP packetを使用するのが主流です。しかし、様々な映像の圧縮方式があり互換性はありません。
PoEで給電ができる1Gps Cat5e UTPによる配線が主流ですが複数の映像ストリームを扱うには10Gbps以上が必要になり光トランシーバーが使われています。
「Media over IP」MoIP
SDI同軸によって配線されていた映像情報をethernet+IPに置き換えるもので、主に業務用放送局内で使われます。AVoIPに比べると品質への要求度が高く画質の劣化を嫌い映像情報を非圧縮もしくは低圧縮で伝送するために要求帯域も太くなります。こちらも各種方式が乱立しましたが徐々に標準化が浸透しています。
業務用放送局でも遠隔地との伝送にIP伝送は従来から利用されていましたが、局内ではSDIでの配線が主流でした。しかし、圧縮方式の変換による画質の劣化や遅延、変換装置のコストを考慮すると局内も編集室内もシームレスな接続構成が最適であると現在は考えられています。
| Internet配信 | AV over IP | Media over IP | |
|---|---|---|---|
| 主な適応業務 | YouTube |
監視カメラ、遠隔会議室
デジタルサイネージ
|
業務放送局内 |
| 圧縮 | 超高圧縮 | 高圧縮 | 非圧縮or低圧縮 |
| 1080i必要帯域 | 1.5Gbps | ||
| 1080p/30必要帯域 | 4Mbps | 126Mbps | 3Gbps |
| 4K/30p必要帯域 | 6Gbps | ||
| 4K/60p必要帯域 | 18Mbps | 600Mbps | 12Gbps |
| 遅延 | 数秒 | 多め | 極小 |
| 主要仕様 |
H.265
VP9
|
NDI
SDVoE
Dante AV
IPMX
|
ST2110 |
WSTとしての対応
AVoIPもしくはMoIPであったとしても光トランシーバーに要求される仕様には違いがありませんので、個別に対応製品は用意していません。ethernet以外のSDI伝送等にも標準品がご利用いただけます。
QSFP28の100G SR4が映像制作環境の基本的な接続で使われており、部屋をまたがるような配線には100G LR4もしくは帯域を束ねた400G FR4が使われており。ダークファイバーを活用した建物間や競技場との接続には一心のファイバー利用料金で済む100G BiDiが使われています
Media over IPコンソーシアム
https://moip.jp