光トランシーバーの「仕様」として何が一番大切でしょうか。
殆どの要素は製品の概要等に書かれていますが、それ以上の内容となるとデータシートと呼ばれる詳細な仕様をを観る必要があります。これには様々な数値が書かれていて戸惑う事も多いでしょう。
通常の運用では、受信する光が弱すぎて正常に信号が復元できないことを心配します。つまり、受信側で測定した光のレベルが受信最小値を下回っていないかを確認します。しかし、長距離用の光トランシーバーでは光が強すぎる危険性も考えなければいけません。
データシートの記載内容で受信最大値よりも送信最大値が大きい製品です。
例えば、100G ER4L(WST-QS28-ER4L-C)のデータシートを観ると。送信の最大値が4.5dBmに対し受信の最大が-7dBmです。つまり、直接もしくは極めて短い数メーターのパッチケーブルで接続すると、最悪11.5dBも過剰な光が入力されてしまいます。4.5dBmは最大値ですので必ずしもすべての個体がこれに近い値を出すわけではありませんが、最悪値として考えると12dBは減衰器(アッテネータ)を経由して接続する必要があります。特に受信部にAPD等の高感度増幅器を備えた製品は過剰入力によって故障を招く可能性があります。
これほど極端ではなくわずかに超える接続でもBERが悪化する可能性もあります。大昔の10G ethernetが出荷された頃は、受信の適正範囲が狭く。1dB/2dBの小さい減衰量のアッテネータを工具箱に常備していました。イマドキは3dBもあれば問題なく適正範囲に収めることが出来るでしょう。
パワーメーターが無い場合はこのような手順になるでしょう。パワーメータが有る場合は、通電後接続前に受信側でレベルを測定し必要なアッテネータの値を求める事ができます。しかし、波長多重されている100G CWDM4/LR4等は少し面倒です。パワーメーターでは4波の合成出力しか測定できないからです。
その場合は、4倍に相当する6dBを減算して値を推定します。パワーメーターの受信限界を超えないようにパワーメーター測定時にもアッテネータが必要になる場合があります。