2023年3月のOFCの段階では懐疑的な意見も多かったLINEAR driveの光トランシーバーも10月のOCPでは実測データもそろってきたためかかなり前向きな意見が多かった印象です。

元々光トランシーバーは単純な電気信号と光の変換器でした。その後、10G bps NRZのBERを改善の為にクロック再生のCDRを光トランシーバーに内蔵することが一般的になりました。COAXだとAECと同等の構成です。DACは単なる電線で、ACCは電気増幅がありますのでLPO同等です。

56G PAM4/112G PAM4では、CDRに相当する機能がかなり複雑になり消費電力が大きなDSP技術が実装されています。同時に、QSFP28/QSFP-DDではlane速度変換のGEAR BOXも必要な伝送方式も多くレーザー以外の電子部品の消費電力が大きなウェイトを占めるようになりました。

BERを1E-6相当の目標にしファブリックが備えるFEC及び信号補正回路に処理を全て委ねる事にって消費電力の低減を目指すのがLPOで2km以下の近距離接続ではこれから主流になる可能性が高いです。

LPOが適用できる光トランシーバーは限られる

消費電力が少ないからと言って全ての光トランシーバーがLPO実装になるわけではありません。単純な電気と光の変換だけで済むのが大前提ですのでGEAR BOXと呼ばれるLANE速度の変換を要求されるものは実装不可能です。実質QSFP12 400G DR4/FR4と、OSFP 800G DR8/FR8でしょうか。

また、QSFP112 400G VSR4は伝送品質の面から難しいと思われます。

実際の消費電力の削減幅

実装手法 消費電力効率
DSP optics 10.0pJ/bit
LPO 6.3pJ/bit
CPO 5.0 pJ/bit
package type CEI 消費電力 DSP GEAR BOX
QSFP-DD CEI-56G-VSR 12W
QSFP112 CEI-112G-VSR 12W
 
QSFP112 CEI-112G-Linear 8W
 
 
CPO CEI-112G-Linear 4W+4W
 
 

 

LPOの欠点

  • 障害切り分けが難しい、トランシーバー単体での品質測定が難しい。
  • スイッチシャーシ内の配線の影響を強く受ける。ポート毎の差が大きい。
  • ファブリックの性能に大きく影響を受ける

実際のBER

OCP2023でAlibabaが示したスライドです。

プラガブルトランシーバーの実用寿命の延長

高密度かつ高消費電力である光トランシーバーの消費電力を抑えるためにCPOが提唱され、112Gbps/laneの世代では従来のプラガブルに代わってCPOが主流になるという意見もあります。しかし、LPOはCPOには及ばないにせよ大幅な消費電力の削減策ですのでCPOの必要性が薄れる大きな要因になっています。800G OSFP/400G QSFP112に代表される112Gbps SerDes世代ではまだプラガブル光トランシーバーが主流となる可能性があります。

COBO、NPO、CPOと様々な消費電力抑制策が議論されCPOにて一応の解決策としたものの、そこからLPOに話が戻ると言うか実装技術の進歩に伴い主流となる実装が変わっていくのが先端技術の面白い所です。具体的にはBroadcom Tomahawk5の112G PAM4 SerDesドライバーがAGCや波形整形FEC全て優秀で実際に測定してみたら許容範囲に収まりそうという話なんですから。

OCP2023での質疑に耳を傾けているとPAM4の導入がそもそも間違いではなかったかと意見もあるのが興味深い。

WSTの方針

弊社としても運用の課題は懸念されるものの、消費電力低減の要求は強いのでLPO仕様のQSFP112もラインナップする予定です。その際に同じQSFP112 400G DR4でも通常のものとLPO仕様の二種類になる可能性が高く、顧客が混乱しない様製品の型番等や資料の整理を進めております。

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