2023年3月にSan Diegoで行われたOFCでは、仕様がドキュメントとして整備されたCPOが仕様の記述道理に物を作れるかを確認する場で有ったように思います。既に、OIF主導の元2022年中から相互接続試験が行われてきましたが、その結果がドキュメントに反映され、光通信業界最大のコンファレンス+展示会であるOFC2023で各社が取り上げたことで仕様策定として終了宣言の様相でした。
112G SerDes 32 laneを受け持つCPO。400Gなら8 port、800Gなら4 port。今のところ200G FR4/400G DR4/400G FR4を想定。実質100G DRと800G DR8も。
51.2T容量のファブリックなら16個使用
CPOのトランシーバーなのですが、フロントパネルまで同軸ケーブルで配線を伸ばしそこにQSFP112を配置する。当然QSFP112ソケットには別途電源を供給します。結局は従来型と同じ構造なのですが、ファブリック側のインターフェースがCPOに集約できる利点があります。技術的にはごく普通の実装なのですがOFC2023ではとても注目を集めていました。「それがあったか」という感じでしょうか。
どうしてもCPOで想定している400G DR4/400G FR4以外を使いたいケースはありますから、消費電力的に不利であっても従来型のプラガブルトランシーバーが全く使えない装置よりは一部のポートにはプラガブルが使える製品が現実的です。工場出荷時の構成変更だけでバリエーションを作れます。
超短距離のMMFであれば、CPO上にVCSELによるLD光源も考えられますが短中距離のSMFによる伝送モードではCPO上には消費電力発熱スペース等の問題で難しいので変調器だけを配し変調前のCW光源からLD出力を供給する。
ELSFPは機器側に電源供給を受けるコネクターエッジと光源出力を渡すMTコネクターを備えた従来のプラガブルトランシーバーと似た外見のモジュール。装置に電源投入時でも挿抜可能。
これにより一般の電子部品よりも故障率が高いとされるLD光源故障時の対応が、機器のふたを開けずに電源をいれたままフロントパネルでの作業だけで完了できる。
DR4用では同じ波長の光源を分配を前提にした高出力レベル(23dBm)で供給。FR4用にはCWDM4グリッドでそれぞれの波長を別ファイバーでこれも分配を前提にした高出力レベルで供給。仕様上はCWDM8も想定。
CPOで実現される伝送方式は112G SerDesですので、QSFP112に相当するものです。56G SerDes対応のQSFP-DDは使われ続けるでしょう。"400G FR4"と言った伝送方式だけの表記ではトランシーバーのハードウェアを特定できない事に注意してください。
プラガブルトランシーバーより低消費電力な実装手法ですからLR/ER等の10k,40km対応可能な伝送方式も使えると嬉しいです。しかし、それらの伝送方式は単純に送り出しの光が強い訳では無く、波長が違ったり受信アンプを必要としたりしますのでCPOでの実装は難しいでしょう。そもそもCPOは最初からDC内の配線を想定している話で合ってOFCでも長距離サポートの話は聞きませんでした。逆に、VCSELを使用した10m以下の短距離についてはAI/MLのノード間での利用を想定した議論がされていました。
かなりの芯数の光ファイバーが装置の中に走りますので、そのファイバーの取り回しも結構重要。CPOの交換作業を阻害せず、冷却の空気も阻害せず、OFCならではの部品メーカーが様々なデザインを示していました。
ELSFPにより故障率が高いLD光源の交換が出来ますので基本的には顧客側でCPOを交換する必要性はないでしょう。OFCのセミナーでも質問が出ましたが消費電力を極力抑えるために電気的伝送にはあまりマージンがないので、CPO交換後には十分な試験が必要との事でした。逆に言えば、そのような試験が出来る環境があるのであれば交換可能と言う事です。そもそも使う伝送方式がDRかFRの二択ですし。